理想のクローゼットはSATCのやつ。でも現実ってやつはウディ・アレンの映画よりシビアでね。
Sex and the Cityに出てくるようなクローゼットがほしい。
扉が二つあって、どちらかでも行き来ができるひろーいやつ。
衣替えとか必要ないくらい、すべての服も靴もバッグも収まっちゃうひろーいやつ。
そのクローゼットの中には、マノロ・ブラニクやジミー・チュウの靴、シャネルのチェーンバッグ、ディオールのドレスなどなど、カラフルでハイセンスなものが乱雑に並んでるの。
夢のような場所。
SATCのキャリーのクローゼットは、世界で一番行ってみたい場所かもしれない。
でも私のクローゼットには魔物が住んでいる。
連日の肌寒さに耐えかね、衣替えを試みたのが約2時間前。
小さく狭いクローゼットの中を漁り初めて気づいたのだ。
クローゼットの中には、思い出という名の誘惑と現実という名の衝撃が共存する場所だと。
1年前にニューヨークに行った時のパンフレットや写真が出てきて、手が止まること約30分。恍惚とマンハッタンの気分にひたっていると、金の亡者に使わされた請求書たちがついに登場。
日ごろ、無関心を装いながらぽいぽいとファイルに挟んでいた請求書や、
住民税の支払い書、奨学金返済の残額通知書、
クレジット引き落とし明細書らが次から次へと舞い出てくる。
英会話の教材が積まれたローテーブルの上に広げ、
居間からママンのでかい電卓を拝借する。
ほとんど未使用の手帳を開き、今月の支払いを計算する。ついでに来月の分も。
そして導き出された結果は惨憺たる結果に…
給料日までに使える金額は…(言えるかばかやろう!)
でも乳液がなくなりかけてるし、
来週会う親友の誕生日プレゼントも買わなきゃいけないし、
職場のお局に誘われた食事も今週の金曜日だし(OMG)、
月1で通う病院も行けてない。やばい。ピンチ到来。
けばけばしい黄金のブタちゃん型500円玉貯金箱を開けてみると、8000円しか入っていない。
フローリングの上に積み上げた不安定な500円玉たち。
アンバランスで美しいこの500円玉円柱を崩してまで、
4000円もする乳液を買い、1回で5千円もかかる皮膚科に行くべきか。(あれ、1000円足りない…)
いや、皮膚科は行かなきゃ薬が切れる。それだけは避けたい。
乳液はとりあえず無印の安いやつを買おう。
コスメキッチンとはしばらくの間距離を置こう(OMG)
泣きそうな気分をどうにか落ち着かせるために、
5seconds of summerの新譜を聞くと、
シャッフル機能はいきなり「money」という曲を流し始める。
おいおい、勘弁してくれよ、お前まで恵比寿様のまわし者か。
そんなこんなで私にキャリーのようなクローゼットが持てるわけがない。
それでも夢は夢なのだ。
ほど遠い夢を夢に終わらたくはない!
でも現実って痛いほどシビアだから、SATCでも見て空想にひたるしかないのよね。
妄想の中では、目の前にはルブタンの美しすぎるパンプス…
あれ、なんだか目に涙が…。
さあ明日からまたお仕事がんばろう。
アーメン。