『スパニッシュ・アパートメント』による、いつだって空回りな青年グザヴィエの、いわゆる「終わりなき旅」について。
人生は出来の悪いコメディーだ。
私の好きな映画に『スパニッシュ・アパートメント』という作品があります。
この作品には一応続編があって、『ロシアン・ドールズ』『ニューヨークの巴里夫』に続くんだけど、今作だけでも十分楽しめます!
ロマン・デュリス演じるグザヴィエは就職活動目前の大学生。
でも就職できる気がしない。
だから親戚に言われるままにスペインへ留学し、そこで勉強しなおそうって魂胆。
とんだおぼっちゃまめ、と思いつつも、憎めないのがこの主人公!
彼女がいるのに浮気とかしちゃうし、レズの女性を本気で好きになりかける始末。
でもなんでこいつが憎めないかっていうと、
まず、友達思い。
この主人公がスペインにいる間に滞在するのが、
様々な国籍の学生達がシェアしてるアパート。(だから作品名が『スパニッシュ・アパートメント』)
仲良いんだか悪いんだかわかんないんだけど、
一人の為にみんなが街を走り回るシーンがあって、
これがやけに泣けたり笑えたりするのだ。
次に、将来の悩みや煩悩に苛まれているところ。
彼は親戚のいう通りに留学を決めたんじゃなくて、
自分の将来に不安を抱えて悩んでたみたいで。
小説家になりたいという夢を持ちながら、安定した道を進むべきかどうか。
そんな悩みで一喜一憂する彼がかわいいのなんのって!
夢かあ。
グザヴィエの気持ちわかるなあ、って思った人、私も同じです(笑)。
夢っていつになったらあきらめられるかなあ。
あきらめないで努力さえし続ければ…なんてそんなの夢物語。
でも、まだあきらめたくないんだよねえ。もう24歳だぜ。
2ヶ月後には25歳だぜ。四捨五入したら(するな)三十路だぜ。
はあー…ため息ばかりでてしまうものです。
そこで冒頭の言葉!
「人生は出来の悪いコメディーだ」
その通りでござんす。
私の人生だって、腕の悪い脚本家が出来そこないのシナリオを送ってきたに違いない。
作中のグザヴィエはこうも言う。
「僕の人生は混乱続き。複雑で悲惨で乱雑でからまってる」
おいおい、そりゃないぜグザヴィエさん。
あんた結構いい人生送ってるで?とか思う反面、
うんうんわかる。
どうしてこんなにうまくいかないんだろうね。
とか思ったりね。
でも、悪くないよな。私の人生も。とか思う。
悲劇じゃないから。
悲劇的なことは何度か起こってるけど、
悲劇のヒロインなんて演じたくないもの。
だったら私はウディ・アレンのようなコメディアンでいたい。
アレンみたいに最高のコメディー作ってやろうじゃないのよ。
とか開き直る始末。おいおい大丈夫か自分。このまま三十路まっしぐらだぜ!?
大丈夫よ、きっと。
なんとかするわい。
グザヴィエみたいにさ。
「筋書きのない未来を選んだ。昔からの夢を追う。物書きになるのだ」
迷ったらこの作品をみて元気をもらえばいい。
そんな映画に出会えただけで、私の人生案外ハッピーだったりする。
とりあえずこの作品、脚本も編集もスタイリッシュで素敵だから
もしお時間あればチェケラしてみてください~!!
L'Auberge Espagnole (trailer) - YouTube
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